忙しさ癒やす茶席
仕事や家事に日々奮闘する人たちをねぎらおうと、大崎市祥雲閣で11月22日から3日間、勤労感謝の日にちなんだ特別な茶席が設けられた。2種類の和菓子からどちらかを選ぶことができ、訪れた人たちは美しく色付いた庭を眺めながら一息ついていた。収穫に感謝する宮中行事「新嘗祭」に由来する勤労感謝の日。この日、用意された菓子はサザンカの花を模した練り切りと長寿や財、徳といった願いを込め金箔で飾られた蓬莱まんじゅう。和菓子はらはた(美里町)が天然素材のみを使用し手作りした。何組か予約が入ったほか、穏やかな天候に誘われて足を延ばした人たちも来館。秋色が美しい中庭を散策するうち普段の気ぜわしさから解放され、和菓子の優しい甘さと抹茶の風味に癒やされていた。
「関根神楽」守り伝える
160年以上の伝統がある「関根神楽」の伝承に向け、美里町北浦小(佐藤浩人校長、児童数95人)の児童たちが練習に励んでいる。3年生11人は5日、半年間にわたる稽古の成果を保護者に披露する。県によると、江戸末期、栗原市栗駒出身の青年が関根村(現美里町関根地区)に奉公した際に南部神楽を伝えたのが始まりとされる。リズミカルな調子や勇壮な舞とともに軍記物などに見られる多くの演目が特徴で、1978(昭和53)年に小牛田町無形文化財に指定された。同校は保存会員の指導を受け、伝承に40年以上取り組んでいる。3年生は授業の一環で学び、興味を持った4~6年生がクラブ活動「神楽クラブ」で練習に励んでいる。
クマ対策で放任果樹伐採
大崎市は今月、管理されていない柿や栗など「放任果樹」を伐採する新たなクマ被害対策に乗り出す。土地所有者の申し込みが必要で、受付期間は同市古川中心部(古川、荒雄両地区)12日、それ以外の地域は5日まで。独自の「緊急事態宣言」に基づく取り組みで「自己負担は発生しない予定」(農村環境整備課)。対象は住宅、事業所、作業場の半径200㍍以内でクマを呼び寄せる可能性が高い果樹。人が普段いない空き家、実のならない樹木は対象外となる。申し込み方法は市ウェブサイト=https://www.city.osaki.miyagi.jp/=「市政サイト」内「農村環境整備課」ページまたは市役所本庁舎3階の同課、最寄りの総合支所地域振興課で応募用紙を入手し、樹高、幹周など必要事項を記入の上、窓口へ持ち込む。同市におけるクマの出没件数は11月中旬以降、減少傾向。一方で、隣接する栗原市では小学校近くで人身被害が出たばかり(同22日)。大崎市クマ被害対策本部は「緊急事態宣言」を今月末まで延長し、引き続き対策強化を図っていく方針だ。
クマ捕獲に役立てて
クマ被害対策に役立ててもらおうと、大崎市内の2事業者がこのほど、お手製の捕獲用箱わなを相次ぎ市へ寄贈した。市独自の「緊急事態宣言」(今月末まで)が続く中、暮らしを守る取り組みは民間にも広がっている。伊藤鐵工(同市古川)は10月末から箱わな製造に着手し、試作品10基をそろえて贈った。わなは高さと幅が各約90㌢、奥行き約1・8㍍の長方形。人目につく生活圏での設置を想定し、あえて鉄格子を使わず分厚い鉄板で囲み、扉が閉まると中が見えない方式に。金属加工・溶接業の照井工業(同市古川)もまた、市と市民の苦境を救うため立ち上がった事業者だ。本業のノウハウ活用で製造に取り組み、高さと幅が各約1㍍、奥行き約2㍍の試作品3基を2週間ほどで完成させた。「山奥(古川北宮沢)にある会社なので、自分自身も危機感を持っている」と照井貴大社長。互いに〝ゼロからの挑戦〟で情報交換した伊藤鐵工と同じく製品化を検討中という。
相澤氏4選へ出馬表明
任期満了に伴う美里町長選(来年1月20日告示、25日投開票)に1日、現職の相澤清一氏(73)が4選を目指し無所属で立候補する意思を明らかにした。町長選に出馬表明したのは相澤氏が初めて。町内で記者会見を開いた相澤氏は「中学校統合や農業活性化、社会福祉に重点的に力を注いできたが、依然道半ばという思いもあり、立候補を決意した」と述べた。
梅毒急増で注意喚起
梅毒患者が大崎管内で急増しているとして、県大崎保健所は注意を呼び掛けている。梅毒は性行為(キスを含む)で感染する。妊婦がかかると流産や死産のほか、子どもが感染した状態で生まれる恐れがある。感染しても無症状の場合があり、他人にうつす恐れがある。早期に適切な治療を受けることで完治できる。同保健所によると、増加は全国的な傾向で、管内ではことし、11月2日までに21件(男性20件、女性1件)の届け出があり、昨年の16件を既に上回っている。届け出別では、「男性」「性風俗産業の利用歴あり」が全体の約6割に上る。各保健所は月2回程度、匿名、原則無料で梅毒とHIV、クラミジアの抗体検査を行っている。事前に電話予約が必要。梅毒とHIVは郵送検査もあり、匿名で自宅で検体を採取でき、結果はインターネットで確認できる。1日から来年2月10日までで、40人まで。
大崎の魅力 SNSで
「旅」を題材に活動する中国人女性インフルエンサーの段硯さんがこのほど、大崎市役所を表敬訪問し、インバウンド(訪日外国人客)誘客促進に向けて吉田祐幸副市長ら市関係者と意見交換した。吉田副市長が流ちょうな中国語で歓迎の言葉を述べると、一行は大喜び。意見交換で、段さんは和食や日本酒など大崎の食文化と、世界農業遺産「大崎耕土」、世界かんがい施設遺産「南原穴堰」のSNS発信を提案。「食の魅力と豊かな自然、歴史を積極的に国内外へPRすべき」と助言した。案内役を務めた、みやぎ大崎観光公社の阿部昌孝常務理事は「温泉郷と、広大な市域で体験できる多様な文化は、インバウンドの『滞在型観光』と親和性が高い。段さんのアドバイスを存分に生かしたい」と力を込めた。
脱炭素化で最優秀賞
脱炭素社会の実現に向けて顕著な功績のあった個人・団体を知事が表彰する「みやぎゼロカーボンアワード」の本年度受賞者が決まった。最優秀賞には大崎市岩出山下野目の医薬品・医療材等製造「日東電工東北事業所」が輝いた。同社は、Nittoグループで初めての二酸化炭素排出量ゼロの工場を同事業所に建て、熱エネルギーの水素を利用し燃料、電力の両面で脱炭素化を実現。工場内で液化水素から水素ガスを作り、水素燃料100%のボイラーで蒸気を生成する国内初のシステムを構築した。太陽光発電の余剰電力を活用したグリーン水素の製造・蓄エネで二酸化炭素排出量削減に貢献した。
栗原市剣道連盟20周年
栗原市剣道連盟(蘇武德行会長)の創立20周年を記念する式典と講演会が11月22日、同市この花さくや姫プラザで開かれた。会場には関係者のほか、日々稽古に励む小中高校生ら計約140人も訪れ、連盟の節目を祝った。式典で蘇武会長は「武道を推進する中で、東北大会規模の大会を招聘できる武道館の建設を要望してきた。大会誘致で興味関心を高め、さらなる普及発展につなげたい」とあいさつ。来賓からの祝辞、競技振興へ尽力した人たちへの感謝状贈呈もあった。その後、筑波大の松﨑賢士郎特任助教が講演。松﨑特任助教は蘇武会長の大学の後輩で、2年前には同市で技術講習会を行った縁がある。講演では小学生時代から現在までの出会いや環境、習慣に触れ、「ライバルを大切にし、最後は過去の自分と比較して超えていく。続ける中で楽しさや奥深さに今でも気付く、剣道を通して人生を豊かにすることが大切」と呼び掛けた。

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