「南原穴堰」の登録報告
歴史的、技術的価値の高い水利施設を登録する「世界かんがい施設遺産」に、大崎市鳴子温泉の山間地を潤す農業用水路「南原穴堰」が新しく加わった。市役所で登録報告会があり、関係者らは藩政時代から守り継ぐ〝生きた遺産〟の保全と利活用に意欲を燃やした。河川が遠い出羽街道中山宿の新田開発を目的に1640年代、全工程手掘りで造られた南原穴堰。総延長1880㍍のうち隧道(トンネル)部分が1330㍍。高低差5㍍の緩勾配で水流を促す測量技術、土砂排出を行う横穴「狭間」の仕組みなど当時最高水準の技と工夫が凝らされ、約380年経た現在も住民の暮らしに息づく。市は11月8日、登録記念シンポジウムを同市古川のアインパルラ浦島で開く。ICID日本国内委員長の渡邉紹裕京都大名誉教授による基調公演、地元関係者を交えたパネル討論など。参加無料。終了後は交流会もある。
スタントマンが事故再現
スタントマンによる自転車事故再現「スケアード・ストレート(恐怖を直視)」交通安全教室が24日から25日にかけ、大崎市内の高校と中学校であった。古川、鳴子両署と県JA共済の合同企画。迫真の演技から、生徒たちは通学路にひそむさまざまな危険を学んだ。24日は古川高(生徒数703人)で実施。見通しの悪い交差点での飛び出し、スマホ操作やヘッドホンで音楽を聴きながらの「ながら運転」、逆走や複数台の並走、2人乗りなど違反行為がいかに危険かを、スタントマンが身をもって演じた。「グシャッ」と鈍い音を響かせ、乗用車のボンネットに乗り上げたり、交差点でトラックに巻き込まれたりするたび、校庭に勢ぞろいの全校生徒は息をのんだ。「皆さんもヒヤリとした経験があるのでは」「事故の被害者にも加害者にもなりうるのが自転車。自覚とルール順守を」と司会者が呼び掛けると、ざわついていた生徒も神妙な面持ちでうなずいた。
認知症予防学ぶ講演会
認知症予防についての講演会が25日、美里町近代文学館で開かれた。町民ら11人が講師の話を通じ、予防に向けて日常生活に取り入れやすい生活習慣や食事について学んだ。「世界アルツハイマーデー」(9月21日)にちなみ、同館(佐藤卓也館長)が主催。いずれも町長寿支援課技師で、社会福祉士の望月晶さんと管理栄養士の鈴木あらたさんが講演した。認知症を早期発見することで治療やサポートを受けて進行を遅らせたり、今後の生活の準備を整えたりすることができることを紹介した。新聞購読者は、インターネットニュースと異なり、意図せずさまざまな情報に触れることから発症しにくいとする研究結果にも言及した。
秋の野草展
古川植物愛好会の「秋の野草展」が28日、大崎市古川北稲葉の古川南部コミュニティセンターで始まった。会員が育てた多彩な野草の展示やチャリティー即売会が行われ、訪れた人の目を楽しませている。大崎タイムスなど後援。29日まで。会場には、身近な草花や会員が手掛けた山野草約150種類と切り花50点余りを展示。リンドウやホトトギス、ヒガンバナといった秋の風情を感じる草花もずらり。このほか、橋会長らが採集した40種類近くのキノコも並べ、食べられるキノコと毒キノコの見分け方を解説している。
千葉常太郎遺作展
大崎市古川の洋画家、千葉常太郎さん(1934~2022年)の「遺作展」が、同市古川穂波2丁目のギャラリー&カフェびいひろで開かれている。10月5日まで。千葉さんは県芸術協会洋画部門運営委員、大崎市古川文化協会長、洋画団体「春光会」会長などを長年務め、美術文化の発展に力を尽くした。会場には、白波が打ち付ける三陸海岸や雄大な蔵王連峰、南ヨーロッパの旧市街など、国内外の風景を描いた油彩画、水彩画50点を並べた。
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