「生分解性マルチ」実演

サツマイモの需要が近年拡大する中、省力化と環境保全効果が期待される「生分解性マルチフィルム」の実演会が8日、大崎市田尻地域であった。県美里農業改良普及センターが初めて企画。管内(大崎市松山・鹿島台・田尻、涌谷町、美里町)の生産者ら約30人が、生分解性マルチの有効性や取り扱い上の注意点を学んだ。県によると、県内のサツマイモ作付面積は2022年度の32・5㌶から昨年度は43㌶に拡大。新みやぎ農協は23年に「さつまいも研究会」を立ち上げたほか、関連施設を昨年整備。ことしは作付面積を前年比1・3倍の7㌶に増やす。マルチフィルムは畑の畝表面を覆うビニールで、土壌の温度や水分の保持、雑草防除の効果がある。一方、収穫前にはぎ取って回収、処分する手間と費用がかかる。生分解性マルチフィルムは、土中の微生物により水と二酸化酸素に分解されることからこれらが不要となり、環境にも優しい。
子どもの姿 巧みに表現

戦前の樺太(サハリン)生まれで大崎市松山育ちの人形作家、故・粟野敦子さん(享年82)=千葉県=の創作人形が市松山酒ミュージアムに展示されている。自身の激動の幼少期を巧みに表現した人形が並び、終戦80年と合わせ、見る人を引き付けている。6月29日まで。粟野さんは終戦に伴い引き揚げ、アパレル会社に就職した。そこで培った製作技術を生かして人形作りをスタート。「知覧特攻平和会館」(鹿児島県南九州市)を訪れたのを機に命の尊さをテーマにした作品を多く生み出したが、闘病の末、3月に亡くなった。展示したのは、粟野さんが2018年に同ミュージアムを管理運営する酒造会社一ノ蔵(同市松山)に寄せた全61作品、163体で、海外で続く戦争の早期終結を願い企画した。
初の大崎カップ柔道大会
「第1回大崎カップ柔道大会」(大崎市柔道協会、県高校体育連盟大崎支部柔道専門部共催)が3日、タカカツアリーナ大崎(大崎市古川総合体育館)で開かれた。東北6県から高校生と一般合わせて約300人が出場し、日頃鍛えた技を競い合った。同大会は大崎市、石巻市、気仙沼市の各柔道協会が持ち回りで開いていた若獅子旗高校柔道大会が前身。若獅子旗は第50回の節目となった昨年度で幕を下ろしたが、全国的に競技人口が減少傾向にある柔道の活性化を図ろうと、参加対象を一般まで拡大し、県高体連大崎支部とタッグを組んで再スタートを切った。競技は団体戦の一般男子(3人制)、高校男子(5人制)、高校女子(3人制)で、一般男子16、高校男子24、高校女子12チームが出場。
法の下の平等考える
憲法記念日講演会が3日、大崎市古川の吉野作造記念館で開かれた。毎年恒例の催しで、今回は学習院大専門職大学院法務研究科の尾形健教授が「共に生きる社会のために-『法の下の平等』をめぐる憲法裁判から」と題し、戦後初期から現代までの判例に基づいて語った。尾形教授は、平等について「見下しを何よりも認めない概念」とした上で、自分より年上の親族への罪を重くした当時の判例、夫婦の姓など近年注目の裁判や解釈を解説。法の下の平等を定める憲法14条に何度も触れ、「人々の意識が鋭敏でないと共生社会は難しい」「最高裁判決はあるが、私たちが問題意識を持ち、考えなくては」と訴えた。
呈茶や折り紙楽しむ
端午の節句にちなんだ催し「こどもの日を祝おう」が3日から5日まで、大崎市古川の祥雲閣で行われた。市内を中心に県外を含め各地から多くの家族連れらが訪れ、県北随一の本格茶庭を眺め、日本文化の折り紙や呈茶を楽しんでいた。子ども向けに、カフェインを含まない茶と菓子のセットメニューも用意。いす席の茶室では、家族に作法を教えてもらいながら緊張気味に茶わんを手にする子どもの姿も見られた。折り紙を使ったこいのぼり作り体験は、材料を自由に組み合わせてデザインを工夫できる点が子どもたちに好評。中には、台紙からはみ出すほど躍動的な作品もあった。
化女沼のサクラ切られる
大崎市古川の市民団体「化女沼2000本桜の会」が植えたサクラのうち1本が、何者かに切断されていたことが分かった。昨年も被害があり、同会は「自分たちの身も切られたような思い」と憤る。切断されたのは、2014年に会員たちと地元幼稚園児が手を携えて植樹した早咲きの陽光桜。園児とほぼ同じ背丈だった幼木は10年で高さ3㍍ほどに成長し、今春も美しい花で大勢の花見客を楽しませたという。桜の会の佐々木哲朗会長が環境保全活動で訪れた今月4日、異変に気付いた。鋭利な刃物で幹を切られ、根元付近からぽきりと真っ二つ。「過失ではなく明らかな故意。犯人が同じと限らないが一度ならず二度までも。断じて許せない」と話す。これまでの植樹本数は2000本を超えて3000本以上。「たくさんの木々から偶然発見できた。木の悲鳴が聞こえた感じだ」とも。
コメントをお書きください