7月に開かれた就職講座。学校やハローワークなどは、生徒の就労意識を高めようと必死だ=古川市民会館
活動意欲に温度差
若年層の流入、宮城は狭き門

激戦区・宮城

 今年の3月末現在で、県内高校新卒者の求人倍率は1・05倍(宮城労働局調べ)。東北6県でもっとも高い数字だが、就職内定率に目を向けると東北で5位、全国ではワースト7位(同)まで下がってしまう。

 これは、東北の中核都市・仙台に多くの大学や各種学校が集中するため。県内の高卒者は毎年、他県から流入する新卒者や専門学校生や短大生、時には大学生とも「雇用のパイ」を奪い合う状況にさらされている。

 逆に、県内から首都圏、関西や中部への流出は少ない。「生徒や親は、県外企業には目がいかない。県内はおろか、管内企業にしか興味がない生徒も多い」(管内高校の進路指導教諭)からだ。

 ハローワーク古川の白鳥一彦統括職業指導官は、「少子化が進む中、親が子を手放したくない事情もある。管内で就職できなければ2、3年のフリーターでもいい、と割り切る親も多いようだ」と説明する。

 この強い地元志向が、「激戦区・宮城」の就職難に拍車をかける一因になっている。

変容する人材採用

 企業が「即戦力」を求める風潮も、新規高卒者にとっては逆風。不況下で、定着率の低い新卒者に教育コストを割けないーと、人材確保を中途採用にシフトする企業は後を絶たない。

 就業形態の多様化、複雑化も、新卒者就職に影を落としている。

 管内の新卒求人で、近年増加傾向にある業態が「製造ライン請負」だ。設備を持たない会社が既存工場のラインを借り受け、業務を一括受託するサービスで、企業には、需要に応じ人員調整を柔軟に行える利点がある。

 これが、派遣などと同じく、従来の正社員雇用の圧迫に直結している。また、転勤も多く賃金も不安定なため、「自校の生徒にはあまり勧めたくない」(管内の進路指導教諭)のも本音だ。

生徒の熱意に格差

 厳しさを増す一方の高卒者就職戦線。各高校では、内定獲得に向け、生徒の就労意識高揚に必死。就職ガイダンスの数を増やしたり、従来は3年生対象の就業体験を2年次に前倒しする(古川工土木情報科)など、独自の対策を講じている。

 管内のある高校では、9月初旬の放課後、就職希望の3年生対象の「一斉模擬面接」があった。試験解禁を前に、毎年学校が開いているという。

 看護師志望の女子生徒は、「内定がもらえるかどうか、焦っている。フリーターは楽そうだが、将来につながるとは思えない。絶対に内定を勝ち取りたい」と、意欲的に話していた。

 だが一方では、面接をすっぽかし無断で下校する生徒も。面接官役の教諭は、ぶ然とした表情で「やる気がある生徒はもちろん多いが、就職という決断の重さを理解していない生徒もいる」とこぼした。

 白鳥指導官は、「熱心に企業研究を重ね活動する生徒がいる一方、放っておけば何も動かない生徒も。(高卒者の就職活動では)二極分化が進んでいる」と分析する。

 18年間の人生で、初めて迎える人生の岐路。それに立ち向かう生徒の心構えには、大きな温度差があるようだ。

◆メモ…県内高卒者の都道府県別求人倍率(1・05倍、平成16年3月末現在)は全国27位。同時期の全国平均は1・26倍。岩手は求人倍率こそ低い(0・71)が、内定率では91・8%と宮城を逆転する。秋田(求人倍率0・89、内定率93・3%)なども同様だ。県内の高校生と比較し、新卒者が積極的に県外へ就職先を求めた結果と思われる。(都築理記者)