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昨年12月末の大雨で崩落した寒風沢地区の町道 |
暮れも押し迫った昨年の12月27日。発達した低気圧の影響で季節はずれの大雨が降った。宮城県大崎地方で最も被害を受けたのは、ダムのない寒風沢地区だった。
県境に近い寒風沢地区は、旭小学校に通じる町道が唯一の生活路。荒れ狂う田川の流れで土がえぐられ、町道が約20mにわたり陥没した。ダム水没予定地の4戸が一時的に孤立。地中に埋まっていた水道管も流され断水になった。関係者は「ダムさえあればこんな災害にはならなかっただろう」と指摘する。
計画によると、田川ダムは高さ85m、貯水容量約1800万立方メートルで、県管理の漆沢ダム(加美町)とほぼ同規模。(1)洪水防止機能(2)河川環境の保全(3)農業用水の補給(4)水道用水の供給逢の4つの機能を兼ね備える。最も重要視されるのは洪水防止機能だ。
1947(昭和22)年9月のカスリン台風では、鳴瀬川水系(田川含む)流域だけで床上浸水1050戸、浸水農地6160haの被害があった。86(昭和61)年8月の台風10号でも、旧鹿島台町を中心に被害額は107億円に達した。国土交通省東北地方整備局鳴瀬川総合開発調査事務所(大崎市古川)は、定住人口や工場が増えたことなどから「同じ規模の水害が起こったら被害額はもっとふくらむ」と指摘する。
国や県の計画では、田川と合流する鳴瀬川下流の基準地点(大崎市三本木)で毎秒3400立方メートルの水に備える。既存のダムで200立方メートルを、建設計画を進めている田川ダムと筒砂子ダム(加美町)で計400立方メートルを調節し、残りを河川で処理すれば、カスリン台風級の水量でも住宅や農地の被害はゼロになる計算だ。
問題は国の予算。田川ダムに投じられた年間予算は10年ほど前は3億円前後だったが、ここ数年は1億6000万円前後で推移している。90年代以降は公共事業見直しの風潮が高まっていて、全国100カ所以上でダム建設が凍結・中止に追い込まれた。
鳴瀬川調査事務所の坂本良三所長は「鳴瀬川の治水は遅れているのが現状。異常気象で大きな水害が起こる危険もあり、できるだけ早く建設すべき」とし、「住民にも苦労をかけているのは分かっている。危険性を中央に訴え、予算獲得に努めたい」と述べる。(おわり)(第1報道部 板垣英人)